公開日: 2026.05.02 / 最終更新日: 2026.10.21
B2B ECの再注文機能|いつもの注文を1分にする4つの要件
B2B ECの再注文機能は、注文履歴からの再注文・得意先ごとの定番リスト・発注単位と数量の記憶・承認とメモ欄の4要件で設計します。要件定義で発注側が指定する項目と、提案依頼の前に数える3つの数字を示します。
B2B ECの再注文機能は、①注文履歴からの再注文、②得意先ごとの定番リスト、③発注単位と数量の記憶、④承認と発注メモの扱い、の4つを要件にして設計します。得意先の担当者がログインしてから「いつもの注文」を確定するまでを、1分以内に収めるのが目標です。
B2Bの取引では、同じ得意先が同じような商品を繰り返し発注する「再注文」が売上の大半を占めます。新規顧客の獲得と一度きりの購入が中心になりやすいB2CのECとは、注文の構造が違います。比べる相手は、FAX1枚・電話1本で済んでいた従来の発注です。慣れた担当者ならFAXは30秒、電話は1本で終わり、ECがそれより遅く面倒なら得意先は使いません。
再注文の速さは、受注事務のコストにも直結します。受注事務のコストは、入力にかかる時間に担当者の人件費(給与と社会保険料など)を掛けた額です。再注文がECから人手を介さず基幹まで流れれば、その入力工数がなくなります。反対に、EC化しても再注文が遅くて得意先がFAXに戻れば、事務コストは減りません。
「いつもの注文」を分解すると4つの設計要件になる
1. 注文履歴からの再注文
4つのうち最も優先する導線です。得意先の担当者がログインした直後の画面は、商品一覧より、その得意先の注文履歴にします。前回・前々回の注文をそのままカートに複製し、数量を直して確定するまでが3クリック以内に収まっているかを、設計レビューで最初に確認します。
Shopify B2Bでは、新しい顧客アカウントを使うストアなら、注文履歴と注文詳細の画面に過去の注文を複製するボタンが標準で表示されます(2023年1月のShopify Changelogで公開)。標準の動作では、欠品している商品はチェックアウトの段階で知らされます。カートに入れる前に欠品を見せるか、ログイン後の画面から履歴まで何手で届くかは、自社で決めて設計に入れます。
2. 得意先ごとの定番リスト
取扱商品が数千点あっても、ひとつの得意先が発注する商品は数十点程度に収まることが多くあります。全商品カタログから毎回探させず、その得意先の定番品を並べた発注画面を初期表示にします。紙のFAX注文書が使いやすかったのは、「うちが頼むものしか書いていない」からです。同じ使い勝手をECで用意します。
3. 発注単位と数量の記憶
B2Bの数量入力は、「1ケース=24本」「10袋単位」のような商習慣の単位で行われます。数量ルールで刻みを制御したうえで、前回の発注数量を初期値として表示すれば、担当者は前回から変わった数量を直して確定します。入力の手数を1タップ減らすと、毎週の発注では積み重なって大きな差になります。
4. 承認と発注メモの扱い
得意先側にも現場担当と発注責任者がいます。現場がカートを作り、責任者が確定する二段階の流れや、「次回配送時に空箱回収希望」のようなメモ欄の存在は、電話・FAXでは自然にできていたことです。ECに載せた途端にこれらが消えると、得意先は「電話のほうが融通が利く」と感じて戻っていきます。
履歴・定番リスト・数量記憶を使われる機能にする
基本の4要件を満たしたら、得意先の発注リズムに合わせて細部を詰めます。履歴・定番リスト・数量記憶は、画面に置いても、得意先の使い方に合っていなければ使われません。設計要件としては、次の点まで決めます。
- 履歴の粒度:注文まるごとの複製に加え、明細1行単位の再注文もできるか。「前回と同じ」と「あの1品を追加」は別の入り口が要る
- 定番リストの育て方:初期リストは過去の受注データから自動生成し、得意先が自分で商品を出し入れして育てられるようにする。固定のままでは半年で実態とずれる
- 数量記憶の単位:前回数量の初期値に加え、曜日ごと・週次の発注パターンがある得意先には「いつもの組み合わせ」を保存できる機能が役立つ
- 在庫・納期の即時表示:数量を入れた瞬間に在庫と最短納期が出ないと、担当者は結局電話で確認する。再注文の速さは在庫表示とセットで初めて成立する
これらを一度に全部作る必要はありません。最初に履歴からの再注文を仕上げ、利用が定着してから定番リストや数量記憶を足すと、投資と効果の釣り合いが取れます。
提案を比べるときに確かめる3つの点
4つの要件に高度な技術は要りません。要件定義で「何を優先するか」を発注側が指定すれば作れる項目です。指定しなければ、開発会社は商品検索やおすすめ表示を中心にしたB2C由来の標準的な画面構成で作ります。決裁の前に、提案が次の3点を満たしているかを確かめます。
- 標準機能の扱い:「Shopify B2Bなら再注文は標準機能」で済ませず、欠品・廃番が混ざったときの表示や数量の初期値まで画面案で示しているか
- 初期画面:ログイン直後に注文履歴か定番リストが出る設計か。商品検索が中心の画面は、週1回の定型発注には手数が多すぎる
- 在庫・納期の表示:在庫と最短納期の即時表示を別フェーズに切り出していないか。数量を入れても在庫が分からなければ、担当者は電話で問い合わせる
提案依頼の前に自社で数える3つの数字
次の3つを販売管理システムの受注データから集計して渡すと、各社の提案が自社の発注実態に合っているかを比べられます。
- 受注全体に占める再注文比率:全注文のうち、過去に同じ商品を買ったことがある得意先からの注文の割合。高いほど再注文導線の改善で減らせる手間が大きい。低ければ定番化していない商材の可能性があり、商品の探しやすさや見積導線の改善を優先する
- 得意先1社あたりの定番品目数:取扱品目数との差が大きいほど、定番リストを初期表示にする効果が大きい
- 1件の受注入力にかかる平均時間:時間×時給×件数で、ECに移せば減らせる事務コストを試算する土台になる
開発を依頼する前のチェックリスト
- 受注全体に占める再注文比率を数字で把握しているか
- ログイン後の初期画面が注文履歴または定番リストになっているか
- 前回注文の複製から確定まで3クリック以内か
- 数量の初期値・発注単位が得意先の商習慣に合っているか
- 欠品・廃番が再注文に混ざったときの表示を設計したか
- 得意先側の承認フローとメモ欄の要否を確認したか
まとめ
B2B ECの再注文機能は、注文履歴からの再注文、得意先ごとの定番リスト、発注単位と数量の記憶、承認と発注メモの4要件で設計します。ログインから確定までを、FAX1枚・電話1本より速い1分以内に収めます。EC全体が使われない原因は使われるB2B ECの条件、通常プランで使えるようになったB2B機能はShopify B2Bの通常プラン開放が参考になります。
受注データから再注文比率と得意先ごとの定番品目を集計する作業は、awaiが構築の前段で引き受けます。その数字をもとに4要件のどれから作るかを決めて再注文導線を構築し、公開後は再注文の利用状況を月次で集計して画面を直します。
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- Q. 再注文機能はShopify標準にありますか?
- A. 注文履歴から再注文する導線自体は用意されていますが、実務で使われるかどうかは設計次第です。履歴のどこに再注文ボタンを置くか、欠品している商品をどう見せるか、数量をどう初期表示するかで、得意先の手数は大きく変わります。既製のまま公開すると、得意先は「電話したほうが早い」と考えて元の発注手段に戻ります。
- Q. 得意先ごとの定番品リストは作れますか?
- A. 作れます。得意先ごとに、過去の購入実績から定番品だけを並べた発注画面を用意する形が一般的です。全カタログから毎回探させないことが、再注文の速さに直結します。定番品の抽出は、過去6〜12ヶ月に2回以上購入された商品、といった条件で機械的に作れるため、手作業でリストを維持する必要はありません。
- Q. ケースやロットの発注単位に対応できますか?
- A. 対応できます。ケース入数や最低ロットを数量ルールとして設定し、それ以外の数量では発注できないようにする形です。あわせて、前回の発注数量を初期値として表示すると入力の手数が減ります。単位の表記(ケース/ボール/バラ)を得意先が普段使っている呼び方に合わせると、入力の間違いも減ります。
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