公開日: 2026.05.07 / 最終更新日: 2026.10.21
Shopify B2Bに見積フローを組む方法と5つのステップ
Shopify B2Bで見積もりを伴う取引を受ける5ステップを解説。見積案件の仕分け、価格表による見積レス化、見積依頼の導線、下書き注文での回答と注文化、見積データの活用までを、構成別の費用感とあわせて示します。
「うちは毎回見積もりを出すから、ECには載らない」。卸売や製造業でよく挙がる懸念です。見積もりを挟む商流もEC化はできます。違いは、受注の前に「見積依頼→回答→注文化」の手順を1段階組み込む点にあります。
Shopify B2Bに見積フローを組む手順は次の5つです。STEP1で見積もり案件を仕分け、STEP2で形式的な見積もりを得意先別の価格表に置き換えます。STEP3で個別見積もりの依頼をECの導線に載せ、STEP4で回答から注文への変換をつなぎ、STEP5で見積データを次の商談に使います。
見積業務にかかるコストは、決算書の科目には表れません。担当者は電話やFAXの内容を聞き取り、品番と数量を転記し、見積書を起こして返信します。この作業は見積もり1件ごとに発生するため、件数が多い会社では担当者1人分の時間が見積作成に使われることもあります。EC化で減らしたいのは、この工数と、聞き間違い・転記ミスです。
STEP1: 「毎回見積もり」の中身を仕分ける
最初に、直近1年の見積もり案件を棚卸しします。「毎回見積もり」と言っている会社でも、前回と同じ内容を形式的に見積書にしている取引が混ざっていることがあります。仕分けの軸は、価格が案件ごとに変わるかどうかです。見積書の控えから、案件ごとに次の4点を一覧にします。
- 得意先名と品番
- 前回見積もりとの価格差の有無
- 価格を変えた理由(数量・仕様・納期・競合など)
- 受注に至ったかどうか
注意点:この棚卸しを営業担当の記憶に頼ると「全部個別対応です」という答えが返ってきます。見積書の控えや販売データで件数を数えてください。
4点を並べると、取引はおおむね次の3つに分かれます。どのパターンが多いかで、STEP2以降のどこに手間をかけるかが決まります。
- 価格表型:得意先ごとに価格が決まっている → 得意先別価格表でほぼEC化できる(STEP2)
- 都度見積型:数量や仕様で毎回価格が変わる → 見積依頼の導線と担当者の回答で対応する(STEP3・STEP4)
- 相談型:仕様を相談しながら決める → ECは入口(引き合いの受付)に絞る
STEP2: 形式的な見積もりは価格表で「見積レス」にする
得意先ごとに掛率や単価が固定されている取引は、Shopify B2Bの価格表(カタログ)に登録すれば、見積書を作る必要がなくなります。得意先がログインすると、自社向けの価格が最初から表示される状態です。形式的な見積もりが多い会社ほど、この段階で見積作成の件数が減ります。
よくある失敗:価格表にするときに障害になるのは、システムより社内の属人化です。「あの得意先の単価は営業の頭の中にしかない」状態なら、EC化の前に価格決定ルールを文書にします。
STEP3: 個別見積もりの依頼をECの導線に載せる
数量や仕様で価格が動く取引は、無理に自動化せず「見積依頼」をECの入り口にします。得意先が商品と数量を選んで依頼を送ると、担当者には内容が項目ごとのデータで届きます。電話やFAXの聞き取りと違い、品番・数量の転記ミスや聞き漏らしがなくなります。
実装の選択肢は主に3つです。1つ目はShopify B2Bの標準機能で、会社のロケーションごとに、すべての注文を下書きとして提出させる設定(Submit all orders as drafts for review)を使います。得意先は支払いの代わりに承認を依頼するボタン(英語表記では「Submit for approval」)から注文を送り、担当者は管理画面の下書き注文で内容を確認したうえで、注文を作成するか請求書を送ります。2つ目は見積依頼アプリの導入、3つ目は依頼フォームの内容から担当者が下書き注文(ドラフトオーダー)を起こす方法です。
届いた見積依頼にどう回答するかも決めます。価格表に載らない個別見積もりでは、金額を決めて見積書を起こす作業が担当者の経験や勘に頼りがちです。個別見積の作成をAIで自動化する方法|属人化を解く価格の3層設計に、見積書の起案をAIでどこまで支援できるかの説明があります。
STEP4: 見積回答から注文への変換をつなぐ
STEP4では、担当者が金額を入れて回答した見積もりを、得意先がそのまま正式注文に変えられるようにします。Shopifyの下書き注文は、金額の確定後に請求書(支払いリンク)を送って注文化できるため、この変換に向いています。見積書PDFをメールで送り、注文はFAXで受けるという分断が残ると、転記の手間が消えません。
運用の注意:回答の速さは、システムの機能より運用で決まります。「見積依頼から回答までの目標時間」を決め、誰が回答するかの当番を明確にしないと、依頼が管理画面に溜まったまま放置されます。
STEP5: 見積データを次の商談の資産にする
紙やExcelの見積もりは出したあと集計に使われないことが多い一方、EC上の見積もりはデータとして蓄積されます。どの得意先が何を見積もり、どれだけ受注に至ったか。失注した見積もりにどんな傾向があるか。この数字は価格戦略と営業の配分を決める材料になります。見積フローのEC化は、業務の効率化と同時に経営データの獲得にもつながります。
記録する項目は、見積機能を作る段階で決めます。受注率(見積のうち受注に至った割合)、回答までの所要時間、失注の理由の3項目があれば、価格の妥当性や回答スピードの改善点を数字で確かめられます。機能ができてから項目を足すより、手間も費用も少なく済みます。
見積フローを作り込む前に確認したい3つのこと
見積機能は作り込むほど費用と運用の負担が増えます。発注前に次の3点を確かめてください。
- 価格表で済む取引を切り出す。価格が案件ごとに変わる取引が一部なら、見積機能は小さな構成で足りる。仕分けをせずに見積機能を作り込むと、使わない仕組みに費用をかけることになる
- 最初から専用アプリやカスタム開発で重装備にしない。件数、複数担当の割り振り、有効期限の管理、値引き交渉の往復が増えた段階で広げれば足りる(構成ごとの目安は次の節)
- 回答の当番と目標時間を決めてから公開する。当番が決まらないまま公開すると依頼が溜まり、紙の頃より回答が遅れることもある
B2Bサイト全体の構築はShopify B2Bサイトの構築手順で順を追って確認できます。FAX・電話の比率や例外取引の多さから受発注の仕組み全体を見直すなら、受発注システムの選び方の比較軸が使えます。
見積フロー実装の費用感
STEP3・STEP4の実装は、どこまでを軽い構成で組み、どこから専用アプリや基幹連携を足すかで費用の桁が変わります。以下は構成ごとの目安で、実際の金額は得意先数・取扱品目数・既存システムとの連携範囲によって変動します。
- 依頼フォーム+下書き注文の組み合わせ(軽装備):月数十件・担当者1人で運用する規模なら、既存テーマの調整範囲で組める
- 見積管理アプリの導入+得意先別価格表の設計:件数が増え、複数担当者での割り振りや有効期限の管理が要る場合の構成。アプリ連携と価格表設計を組み合わせる
- 基幹システム連携・複雑な承認フロー込みのカスタム開発:値引き交渉の往復が多い場合や、在庫・会計などの基幹システムとリアルタイムに連携する場合の構成
価格表型の取引が多い会社ほど、軽い構成から始め、件数や複雑さが増えた段階でアプリ連携・カスタム開発へ広げると、費用を必要な範囲に抑えられます。請求書払いを組み合わせる場合は、Shopify掛け払い(請求書払い)の導入方法とアプリ比較で、決済方式の選び方と、実装前に決める締め日・与信・入金消込の論点を確認してください。
どの構成から始めるかは、見積件数と回答を担う人数で変わります。awaiは見積書の控えを使ったSTEP1の仕分けから入り、得意先別価格表の登録、見積依頼の導線と下書き注文の設定、公開後の受注率や回答時間の集計までを担当します。
自社ECの「作り方」も「伸ばし方」も、30分の無料相談で一緒に整理します作り方・予算のかけ方・マーケの知見・広告運用のうち、どれか一つが欠けていても、良い商品は売上につながりません。現状のEC・SNS・顧客データをうかがい、どこから伴走を始めるべきかをその場でご案内します。よくある質問
- Q. 取引のほぼすべてが個別見積もりの商売でも、EC化する意味はありますか。
- A. あります。その場合のEC化の主な目的は、見積依頼の内容をデータで受け取ることです。品番・数量・希望納期が最初からデータで届けば、聞き取りと転記の工数とミスが減ります。依頼と回答の履歴も蓄積されるため、同じ条件の案件では過去の見積もりを複製して回答でき、回答の速さで他社と差をつけられます。
- Q. 見積機能はアプリと下書き注文(ドラフトオーダー)のどちらで作るべきですか。
- A. 見積依頼の件数と回答フローの複雑さで決めます。月数十件程度で担当者が1人なら、依頼フォームと下書き注文の組み合わせで運用できます。件数が多い、複数担当者の割り振りや有効期限の管理が要る、値引き交渉の往復が多い場合は、見積管理アプリやカスタム開発を検討します。運用のルールを決めてから道具を選ぶと、使わない機能に費用をかけずに済みます。
- Q. 価格を見せたくない得意先や新規客には、どう対応すればよいですか。
- A. Shopify B2Bでは、ログインした会社アカウントごとに表示する価格表を分けられるため、「価格を見せる得意先」と「見積依頼のみ受け付ける得意先」を共存させられます。新規客には見積依頼の導線を中心に開放し、取引実績ができてから価格表を割り当てる段階設計にすると、価格を見せる範囲を管理できます。
- Q. 見積フローの実装にはどれくらい費用がかかりますか。
- A. 構成の重さによって幅があります。依頼フォームと下書き注文を組み合わせた軽い構成、見積管理アプリと得意先別価格表を組み合わせた標準的な構成、基幹システム連携や複雑な承認フローを含む本格構築の順に、規模が大きくなります。STEP1・STEP2の仕分けで価格表型の取引を切り出し、残った取引に限って見積フローに投資すると、費用対効果が見合います。
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