公開日: 2026.10.06 / 最終更新日: 2026.10.06
EC返品ポリシーの書き方|返品特約の条件とクレームを減らす決め方
自社ECの返品ポリシーを、特定商取引法の返品特約の仕組みから整理します。書かない場合に起きること、購入者都合の返品で決める5つの条件、不良品・誤配送との区別、消費者庁ガイドラインに沿った表示の仕方、クレームを減らす運用と記載例まで。
自社ECの返品ポリシーは、購入者都合の返品について①受けるかどうか、②期限、③状態の条件、④費用と返金、⑤対象外の商品の5つを決め、不良品・誤配送を別の項目に分けて書きます。表示する場所は、返品ポリシーのページ、商品ページの価格の近く、注文の最終確認画面の3か所です。何も書かなければ、特定商取引法により商品到着から8日間は購入者都合の返品を受ける店として扱われます。
「思っていた色と違った」「サイズが合わなかった」という連絡が届いてから、返品を受けるのか、送料はどちらが持つのかをその場で判断していると、対応が担当者ごとにぶれ、クレームにつながります。返品の条件は、連絡が来る前に決めてサイトに表示します。制度の細部は、消費者庁の一次情報と専門家への相談で確認してください。
返品ポリシーを書かないと何が起きるか|特定商取引法第15条の3
通信販売には、訪問販売などにあるクーリング・オフの制度はありません。その代わりに、特定商取引法第15条の3は、購入者が商品を受け取った日から数えて8日以内であれば契約の申込みの撤回や解除ができ、その場合の返品の送料は購入者が負担する、と定めています。そして、事業者が広告であらかじめ返品特約(返品についての特別な取り決め)を表示していた場合は、その特約が優先されます。消費者庁の特定商取引法ガイドの説明も同じ構造です。
返品ポリシーを何も書いていない店は、購入者都合の返品を8日間は受ける店として扱われます。反対に「購入者都合の返品は受け付けない」と決めることも、「到着後7日以内・未開封に限り受ける」と決めることもできますが、それは特約として表示して初めて効力を持ちます。返品ポリシーは、自店の返品条件を成立させるための表示でもあります。
もう一つ、返品特約は特定商取引法上の広告の表示事項(申込みの撤回または解除に関する事項)でもあります。特定商取引法に基づく表記のページに書く項目の一つで、ほかの表記項目とあわせた書き方はネットショップの特定商取引法に基づく表記|個人の書き方と省略条件に記載例があります。
購入者都合の返品で決める5つの条件|クレームが起きる決め方と減る決め方
返品ポリシーの中身は、購入者都合の返品について次の5つを決めることです。それぞれに、あとでクレームになりやすい決め方と、なりにくい決め方があります。
| 決める条件 | クレームになりやすい決め方 | クレームが減る決め方 |
|---|---|---|
| ① 受けるかどうか | 「原則不可」とだけ書き、例外を現場判断にする | 受ける・受けないを商品群ごとに明記し、受けない商品は商品ページにも書く |
| ② 期限 | 「到着後すぐ」「速やかに」など日数のない表現 | 「商品到着日から○日以内にご連絡」と起算日と日数を書く。連絡の期限と返送の期限を分ける |
| ③ 状態の条件 | 「未使用に限る」だけで、開封やタグの扱いを書かない | 未開封・未使用・タグ付き・付属品がそろっていること、のように確認できる条件で書く。試着や開封確認の扱いも書く |
| ④ 費用と返金 | 返送料と返金のタイミングを書かない | 返送料の負担者、返金に手数料が差し引かれるか、返金の方法(決済手段に応じて)と時期を書く |
| ⑤ 対象外の商品 | 返品できない商品をポリシーに書かず、依頼が来てから断る | 食品・開封済みの衛生用品・受注生産品・名入れ品・セール品など、対象外を列挙し商品ページにも表示する |
5つの中で、もっともクレームを生むのは②と④です。「返品は7日以内」と書いていても、到着日からなのか注文日からなのか、7日以内に連絡すればよいのか返送品が届く必要があるのかが曖昧だと、8日目に届いた荷物をめぐって揉めます。返金も、いつ・どの方法で戻るかが書かれていないと「返したのにお金が戻らない」という連絡になります。起算日・日数・連絡か到着か・返金の方法と時期、の4点を具体的に書けば、返品に関する問い合わせの多くは防げます。
不良品・誤配送は別の項目|契約不適合の責任と購入者都合の返品を区別する
返品ポリシーでしばしば混ざるのが、「購入者都合の返品」と「不良品・誤配送(商品が契約内容に適合しない場合)」です。前者は特約で受けないと決めることができますが、後者は事業者が責任を負う領域で、送料も事業者負担で交換や返金に応じるのが通常の対応です。
消費者庁の「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」は、この2つの区別を明確にするよう求めています。契約内容に適合している商品の返品特約なのか、適合していない場合の事業者の責任についての特約なのかが区別できない表示は、購入者都合の返品特約についてのみ定めたものと解釈され、不良品等の責任は民法・商法の一般原則によることになる、という考え方が示されています。つまり「返品不可」とだけ書いても、不良品の責任を免れるわけではありません。
実務では、ポリシーの見出しを分けます。「お客様都合による返品・交換」と「不良品・誤配送の場合」の2つの項目を立て、後者には連絡期限(到着後○日以内にご連絡ください)、対応(交換または返金)、送料(当店負担)、確認方法(写真の送付をお願いする場合はその旨)を書きます。項目を分けるだけで、不良品の連絡に「返品不可と書いてある」と返してしまう事故も、購入者都合の依頼を不良品扱いで受けてしまう事故も減ります。
表示の仕方|消費者庁ガイドラインが求める「容易に認識できる」表示
返品特約は、購入者が容易に認識できるように表示することが求められています。書いてあっても、見つけにくければ表示として不十分です。消費者庁のガイドラインが示している考え方を、自社ECに当てはめると次のようになります。
- 極端に小さな文字や、認識しづらい場所への表示は不可:返品特約を極めて小さな文字で表示することや、広告中で消費者が認識しづらい箇所に表示することは、容易に認識できる表示とは考えられない、とされる
- 他の事項に埋没させない:申込方法や振込方法などに紛れないよう、「返品に関する事項」などの表題を掲げて区分したうえで、その区分に表示する
- 重要3事項はより明瞭に:返品の可否・返品の条件・返品にかかる送料負担の有無は、返品トラブルの主な原因となるため、価格など消費者が必ず確認する事項の近くに置く、価格と同じ文字の大きさにする、色文字や太字を使う、他の返品関連事項(返金方法など)より大きな文字にする、といった方法で他より明瞭に表示する
- 共通ページの活用は可:「ご利用ガイド」のような全商品共通のページに一括して表示する方法も、消費者が容易に認識できると考えられる場合がある。その場合、各商品の説明箇所に「返品不可」「到着後○日以内に限り返品可」「送料はお客様負担」などの重要事項を示し、詳細は共通ページを参照する旨を表示する形が例示されている
ガイドラインは例示であり、より分かりやすい表示に取り組むことが期待されると書かれています。自社ECで最低限そろえたいのは、①返品ポリシーのページ(または特定商取引法に基づく表記内の「返品に関する事項」)、②商品ページの価格の近くに返品可否・期限・送料負担の1〜2行、③注文の最終確認画面の3か所です。③については、2022年6月施行の改正特定商取引法で、インターネット通販の最終確認画面に「申込みの撤回・解除に関する事項」を表示することが求められています。返品・解約の条件がリンク先任せになっていないか、自店の最終確認画面を一度確かめてください。
クレームを減らす運用|返品の原因を商品ページでつぶし、窓口を1つにする
ポリシーを整えたうえで、返品そのものと、返品をめぐるクレームを減らす運用は次の4つです。
- 返品の原因を商品ページで先回りする:サイズの実寸表、色味の注意書き(撮影環境で見え方が異なる旨)、内容量や個数、素材の手触りなど、「思っていたのと違う」を生む情報を購入前に出す。商品ページのどこから直すかは商品ページの構成と直す優先順位の順位付けに沿う
- 返品の受付窓口を1つにする:メール・フォーム・電話のどれで受けるかを決め、ポリシーに書いた窓口以外から来た連絡もその窓口に集める。受付時に注文番号・商品・理由・状態(開封の有無)を聞く定型文を用意する
- 返金のタイミングを受付時に伝える:返品の受付時点で「商品を確認後○日以内に、ご利用の決済方法に応じて返金します」と伝え、返送品が届いたら到着の連絡を入れる。進捗が見えないことが、返金をめぐる連絡の主因になる
- 返品理由を記録し、商品ページへ戻す:理由を「サイズ」「色・イメージ」「不良」「誤配送」「その他」程度に分けて件数を記録し、月に1回見る。特定の商品でサイズ理由が多ければ実寸表を足す、色理由が多ければ写真を差し替える、という形で商品ページへ反映する
返品の件数が月に数件のうちは手作業で回りますが、増えてくると受付・返送確認・在庫戻し・返金の4工程が担当者の時間を奪います。工程をシステム化する方法は返品・交換対応の自動化|受付〜在庫戻しのシステム化と費用の目安に詳しくあります。返品の理由はレビューに書かれる不満とも重なるため、ECレビューの集め方|依頼メールのタイミングと文面の作り方の手順で集めたレビューと突き合わせると、直す箇所を絞れます。
記載例|返品に関する事項の構成
ここまでの内容を、返品ポリシー(または特定商取引法に基づく表記の「返品に関する事項」)の構成に落とすと、次のようになります。日数や条件は、自店の商材と体制に合わせて置き換えてください。
- 【お客様都合による返品・交換】商品到着日から○日以内に、下記の窓口までご連絡ください。未開封・未使用で、タグ・付属品がそろっているものに限りお受けします。返送料はお客様のご負担となります。返金は、返送品の確認後○営業日以内に、ご利用の決済方法に応じて行います(振込の場合の手数料の扱いを明記)
- 【返品をお受けできない商品】食品、開封済みの衛生用品、受注生産品・名入れ品、セール対象品(該当する場合は商品ページに表示します)
- 【不良品・誤配送の場合】商品到着日から○日以内に、下記の窓口までご連絡ください。状態確認のため写真の送付をお願いする場合があります。送料当店負担で交換または返金いたします
- 【ご連絡窓口】(メールアドレスまたはフォームのURL)受付時間・返信までの目安日数
- 【ご注意】商品ページに個別の返品条件がある場合は、そちらが優先されます
構成のポイントは、購入者都合と不良品を見出しで分けること、重要3事項(可否・条件・送料負担)を最初の数行に置くこと、返金の方法と時期を書くこと、対象外商品を列挙することの4つです。この構成を表記ページに置いたうえで、商品ページの価格の近くに「返品:到着後○日以内・未開封に限り可(送料お客様負担)」のような1行を添えると、ガイドラインの考え方に沿った表示になります。
まとめ:書かなければ8日間受ける店になる。決めるのは5条件と不良品の扱い
返品ポリシーは、特定商取引法の返品特約として表示して初めて、自店の返品条件になります。書かなければ、商品到着から8日以内の返品を送料購入者負担で受ける店として扱われます。決めるのは、購入者都合の返品について受けるかどうか・期限・状態の条件・費用と返金・対象外商品の5つと、不良品・誤配送を別項目に分けて書く点です。表示では、表題で区分し、重要3事項を価格の近くに明瞭に置き、商品ページと最終確認画面にも反映します。運用では、商品ページで原因を先回りし、窓口を1つにし、返金の時期を受付時に伝え、理由を記録して商品ページへ戻します。こうして整えれば、返品をめぐる連絡は「条件の確認」から「手続きの案内」へ変わり、クレームに発展する件数が減ります。
返品条件の表示とあわせて購入手続きの途中での離脱も見直す場合は、カート離脱率の改善と入力フォームで落ちる画面の見つけ方が役立ちます。
返品理由を記録して商品ページへ戻す作業は、自社ECの伴走支援「awai Build」の保守運用として毎月担えます。理由の多い商品の実寸表や写真の差し替え、返品の可否・期限・送料負担を価格の近くに出す改修、最終確認画面の表示の点検も、EC開発の範囲で行います。支援範囲はawai Buildのサービス詳細をご覧ください。
自社ECの「作り方」も「伸ばし方」も、30分の無料相談で一緒に整理します作り方・予算のかけ方・マーケの知見・広告運用のうち、どれか一つが欠けていても、良い商品は売上につながりません。現状のEC・SNS・顧客データをうかがい、どこから伴走を始めるべきかをその場でご案内します。よくある質問
- Q. 返品ポリシーを書いていない場合、返品を断れますか?
- A. 購入者都合であっても、商品を受け取った日から8日以内の申込みの撤回や解除には応じることになります(返品の送料は購入者負担)。特定商取引法第15条の3の定めで、事業者が広告に返品特約を表示していた場合にのみ、その特約が優先されます。断りたい条件があるなら、特約として表示しておく必要があります。
- Q. 「購入者都合の返品は一切受け付けない」と書いてもよいですか?
- A. 購入者都合の返品を受けないという特約を表示すること自体は可能です。ただし、不良品や誤配送など商品が契約内容に適合しない場合の責任は別で、「返品不可」とだけ書いても免れません。消費者庁のガイドラインでも両者を区別して表示するよう求められているため、不良品・誤配送の項目を分けて書いてください。
- Q. 返品の期限は何日にすればよいですか?
- A. 日数に決まりはありません。特約を表示しない場合の法定の期間が「商品を受け取った日から8日以内」であるため、これを一つの目安に、商材と検品の体制に合わせて決めます。何日にするかより、起算日(到着日)と日数、連絡の期限か返送到着の期限かをはっきり書くほうが、行き違いを防げます。
- Q. 返送料はどちらが負担すべきですか?
- A. 購入者都合の返品は購入者負担、不良品・誤配送は事業者負担、と分けて書くのが一般的です。特約を表示していない場合の法定の扱いも、購入者都合の返品の送料は購入者負担です。どちらにしても、負担者をポリシーに明記し、商品ページの価格の近くにも返品可否・期限・送料負担を添えて表示してください。
- Q. 返品ポリシーはどこに表示すればよいですか?
- A. 特定商取引法に基づく表記のページ(または独立した返品ポリシーのページ)、商品ページの価格の近く、注文の最終確認画面の3か所です。消費者庁のガイドラインは、極めて小さな文字や認識しづらい場所への表示を避け、「返品に関する事項」などの表題で区分し、返品の可否・条件・送料負担の3点を他より明瞭に表示することを求めています。2022年6月施行の改正で、最終確認画面にも申込みの撤回・解除に関する事項の表示が求められています。
- Q. 返品が増えてきました。ポリシーを厳しくすべきですか?
- A. 厳しくする前に理由を見てください。返品理由を「サイズ」「色・イメージ」「不良」「誤配送」などに分けて記録し、特定の商品や理由に偏っていれば、商品ページの実寸表や写真、検品の工程を直すほうが返品を減らせます。条件を厳しくすると購入前の不安が増え、売上側に影響が出ることもあります。件数が増えて受付・返送確認・在庫戻し・返金の工程が重くなった場合は、工程のシステム化を検討してください。
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