公開日: 2026.04.09 / 最終更新日: 2026.10.21

Bカート・CO-NECT・Shopify B2Bを比較|受発注の器の選び方

Bカート・CO-NECT・Shopify B2Bの違いを、立ち位置・料金の目安・得意先別価格・FAX注文の扱いで比較。価格体系・FAX比率・将来の販路の3軸と回収期間の試算から、自社に合う受発注の器を選ぶ基準を示します。

大きさの違う三つの器を並べ、天秤を脇に置いて受発注の器を見比べている情景イラスト

得意先ごとの掛率や価格表が複雑で、卸売専用のECサイトを持ちたいならBカート。FAXと電話でのやり取りをデジタルに置き換えたいならCO-NECT。小売向けの自社ECや将来の海外展開まで、EC全体を一つの基盤で扱いたいならShopify B2Bが候補になります。

選ぶときの物差しは、機能の有無よりも「毎月どれだけの事務コストが減り、導入費用を何か月で回収できるか」です。月額数千円の差より、回収期間の差のほうが投資判断への影響は大きくなります。以下、3サービスの立ち位置、判断の3軸、費用の見方、導入前に自社で進める準備の順に説明します。

3つのサービスの立ち位置の違い

3つのサービスは、どれも受発注をWebに移す手段ですが、立ち位置が異なります。Bカートは「BtoB専用のECサイトを月額制で持つ」ためのSaaSです。公開されている料金は月額9,800円からで、得意先ごとに価格や決済条件を変えるといった卸売特有の商習慣に最初から対応しています。

CO-NECTは「受発注のやり取り自体」をデジタル化するツールです。サイトを構えるというより、得意先からの注文をWebフォームやアプリで受け取り、FAXで届く注文も取り込んで一元管理する発想です。公開情報では月0円からの無料プランがあり、受注側に加えて発注側の業務にも対応している点が特徴です。

Shopify B2Bは、世界最大級のECプラットフォームに載ったB2B機能です。会社単位の顧客管理や得意先別のカタログ価格を、小売向けECと同じ基盤の上で扱えます。かつては上位プラン限定でしたが、2026年4月に通常プランへ開放され、中小企業でも候補に入るようになりました。ただし、Plus以外のプランで有効にできるB2Bカタログ(価格表)は3つまでで、会社・拠点へ価格表を直接割り当てる機能はPlusに限られます(Shopify Changelog、2026年4月)。プラットフォーム費は月数千円〜数万円が目安で、構築費は要件次第です。

月額を並べると、公開情報ではBカートが月9,800円から、CO-NECTは無料プランから始められます。一方で、スマレジEC・B2B(旧・楽楽B2B)のように料金を個別見積もりとする製品もあり、受発注システムの月額は製品ごとに開きがあります。この差は価格の高低というより、対応する商習慣の幅の違いを表しています。月額を横並びにして比べると、判断を誤ります。

判断基準は3つ:価格体系・発注手段・将来の販路

  • 価格体系の複雑さ:得意先ごとの掛率・数量割引・締め支払い条件がどの程度入り組んでいるか
  • 発注手段の現状:注文の何割がFAX・電話で届いているか(得意先を動かせるか)
  • 将来の販路:卸売で完結するのか、小売向けECや海外販売まで視野に入るのか

価格体系が複雑で卸売の中で完結するならBカートが合います。FAX比率が高く、得意先へ新しい操作を求めたくないなら、CO-NECTのような受発注特化型が向きます。販路が広がる見込みがあるなら、Shopify B2Bで器を一つにまとめると、後からシステムを継ぎ足すより総コストを抑えられます。

BカートCO-NECTShopify B2B
立ち位置BtoB専用のECサイトを持つSaaS受発注のやり取り自体をデジタル化するツール汎用ECプラットフォームのB2B機能
価格の目安月額9,800円から無料プランあり(機能・連携に制限)プラットフォーム費は月数千円〜数万円、構築費は要件次第
得意先別の価格・掛率標準で対応対応範囲はプランによる会社単位の顧客管理とカタログ別価格で対応(Plus以外のプランは有効なカタログが3つまで)
FAX・電話注文の扱い別途仕組みが必要取り込みに対応(特徴のひとつ)別途仕組みが必要
小売向けEC・海外展開卸売での完結を想定受発注に特化同じ基盤で併設しやすい
向いている会社価格体系が複雑で、卸売の中で完結するFAX比率が高く、得意先へ新しい操作を求めたくない販路が広がる見込みがあり、器を一つにまとめたい
3サービスの立ち位置比較(金額は各社公開情報からの目安。最新プランは必ず各社サイトで確認)

表を見るときは、「対応している/していない」の丸バツで優劣を決めないようにします。3つは目的が違うため、自社の受注構造(価格体系の複雑さ・FAX比率・将来の販路)に合うかどうかで選びます。

価格体系の複雑さ・FAX比率・将来の販路という3軸でBカート・CO-NECT・Shopify B2Bを整理したマトリクス図
3つの判断軸で見ると、各サービスの得意領域は重ならない

費用は月額より「回収期間」で見る

受注1件の入力・確認に5分かかり、月1,000件を処理している会社で試算すると、入力作業は月83時間になります。時給2,000円換算で月16.6万円が入力に使われている計算です。ここから半分を自動化できるなら、月8万円台の削減効果になります。

この数字と比べると、月額9,800円か3万円かの差は小さく見えます。回収期間は「導入費用÷(毎月減る事務コスト−月額利用料)」で求められ、各サービスの見積もりを同じ式に当てはめれば、月額の安さと回収の速さを同じ物差しで比べられます。そのうえで、自社の受注構造で半分を自動化できるのかを契約前に検証します。

どれを選んでも残る課題:基幹連携と得意先対応

どのサービスを選んでも、「基幹システムとの連携」と「移行しない得意先のFAX・電話注文をどう処理するか」という課題は残ります。ここを設計しないまま器を入れると、二重入力が発生して削減効果が目減りします。

器を選ぶ前に、移行しない得意先の注文をどこで受けるかを決めます。Web発注に移る先はECへ、残るFAX・電話は読み取りで取り込み、最終的に基幹側で1本にまとめます。この全体像が描けていれば、どの器を選んでも二重入力は避けられます。器の機能比較から入ると、この課題が最後まで残ります。

FAX注文の読み取り精度の見方と導入前の検証手順は、AI-OCRでFAX発注書はどこまで読めるかに詳しく書いています。

器選びで失敗しやすい3つの判断

  • 無料プランの有無で選ぶ。無料で始めても、基幹連携や小売向けECの併設が必要になった段階で作り直しになりやすい。無料かどうかとは別に、事務が減るかを検証する
  • 月額の高さで候補から外す。月額の差は対応する商習慣の幅の差で、得意先ごとの掛率や締め払いが複雑な会社ほど、月額の安い器で始めて機能不足に突き当たる
  • 得意先の試用を経ずに決める。発注画面の分かりやすさは、発注する側が触って初めて分かる。試用環境やデモが用意されていれば、主要な得意先1〜2社に発注を試してもらう

契約前に確かめる4項目:取扱商品数・得意先数・基幹連携・D2C併設

同じ「受発注SaaS」でも、卸売の商習慣にどこまで標準で対応しているか、無料枠でどこまで実運用できるか、基幹とどうつなぐかで実質コストが変わります。候補を2〜3に絞ったら、次の4項目で自社に当てはめて確かめます。

  • 取扱商品数(SKU):点数が多いほど商品マスタの登録・更新の負担が重くなる。CSV一括登録や項目のカスタマイズがどこまでできるかを見る
  • 得意先数と価格の複雑さ:得意先ごとに掛率や価格表を分ける必要があるか。ここが複雑なほど、卸売に特化した器のほうが運用は軽い
  • 基幹システムとの連携:受注データを在庫・売掛・請求へどう流すか。CSV・API・中間ツールのどれで、どこまで自動化できるかを事前に確認する
  • D2C(消費者向け直販)併設の意向:将来、小売向けの自社ECや海外販売まで一つの基盤でやりたいなら、汎用ECの拡張であるShopify B2Bが有利になりやすい

4項目のうち、取扱商品数と得意先数は今の運用に無理がないかを、基幹連携とD2C併設意向は数年後に継ぎ足しが要らないかを測ります。目先の使い勝手で選ぶと後者を見落とし、2つ目のシステムを買い足す結果になります。

どの器を選んでも、自社側でやることは変わらない

立ち上がりの速さを決めるのは、サービスの機能より自社側の準備です。次の4つの作業は、どの器を選んでも発生します。見積もりを比べる前に、社内でかかる工数を把握してください。

  • 商品マスタの整備:品番・商品名・入数・単位・規格を、得意先が見て分かる形に整える。4つの中で最も時間がかかる。基幹の品番と得意先が使う呼び名が違う場合は、対応表も作る
  • 得意先マスタと価格の棚卸し:得意先ごとの掛率・価格表・締め支払い条件を一覧にする。口頭で特別扱いしている得意先が見つかることが多く、この作業が商習慣の見直しにもなる
  • アカウントの発行と配布:発注担当者単位か会社単位か、パスワード再発行の依頼を誰が受けるかを決める。運用開始後の問い合わせはここに集中する
  • 帳票の出し方の決定:見積書・納品書・請求書・受領書のうち、どれをECから出し、どれを基幹から出すかを決める。二重発行の事故はここで起きる

この4つの準備ができていれば、どの器でも1〜2か月が立ち上げの目安です。準備のないまま契約すると、器の機能より自社の準備不足が原因で、半年たっても公開できない状態になります。

乗り換えにかかるコスト

器選びで見積もりから漏れやすいのが、後から別サービスへ移る際のコストです。商品・得意先のデータは多くの場合エクスポートして移せます。負担が大きいのは、得意先へ「発注のやり方が変わります」ともう一度案内し、慣れてもらい直す手間です。一度Web発注に慣れた得意先を別の画面へ移すのは、紙からWebへ移すのと同じくらいの説得コストがかかります。

さらに、基幹との連携を作り込んでいた場合、そのつなぎ込みも作り直しになります。最初の選定で4項目を数年先まで見ておけば、この二重の手間を避けられます。月額の安さで選んで1年で乗り換えるより、少し高くても伸びしろのある器を選ぶほうが総額は下がる場面もあります。

得意先が新しい発注方法に慣れるかどうかは、器選びの出発点です。移行が進まない得意先への向き合い方は、得意先がECに移行してくれない時の対処法|移行率をKPIにしないに具体策があります。

導入後に得意先が使わないままになる例もあるため、BtoB ECが使われない原因と立て直し方|使われるECとの差と、基幹側とのつなぎ方を説明したShopifyと基幹システムの連携方法もあわせて確認すると、選定の精度が上がります。

価格体系とFAX比率、将来の販路が分かれば、各候補の見積もりを回収期間の式に当てはめて器を絞るところからawaiが担当します。器が決まったあとも、移行しない得意先の注文の受け口を含めた構築と、公開後の保守運用まで続けて支援します。

自社ECの「作り方」も「伸ばし方」も、30分の無料相談で一緒に整理します作り方・予算のかけ方・マーケの知見・広告運用のうち、どれか一つが欠けていても、良い商品は売上につながりません。現状のEC・SNS・顧客データをうかがい、どこから伴走を始めるべきかをその場でご案内します。

よくある質問

Q. BカートとShopify B2Bの一番の違いは何ですか?
A. Bカートは日本のBtoB受発注に特化した専用カートで、得意先ごとの掛率・価格表・締め支払いに最初から対応しています。Shopify B2Bは汎用ECプラットフォームにB2B機能を載せる形で、小売向けの自社ECや海外展開と同じ基盤の上で卸売を扱えます。卸売だけで完結し価格体系が複雑なら前者、販路を広げる見込みがあり器を一つにまとめたいなら後者が候補になります。判断の目安は、数年後に2つ目のシステムを買い足さずに済むかどうかです。
Q. CO-NECTは無料で使えますか?
A. 無料プランはありますが、機能や連携に制限があります。無料で始められるかどうかより、「自社の受注の何割がその範囲で処理できるか」を確かめます。取扱商品数・得意先数・基幹連携の要否を確認し、制限に当たる部分が主要業務に含まれるなら、有料プランや他製品との比較が必要になります。料金・プラン内容は変わることがあるため、検討時は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
Q. あとから別のサービスへ乗り換えられますか?
A. 技術的には可能です。負担が大きいのはデータ移行より、得意先へ「発注のやり方がまた変わります」と案内し、慣れてもらい直す手間です。一度Web発注に慣れた得意先を別の画面へ移すのは、紙からWebへ移すのと同程度の説得コストがかかります。加えて基幹連携を作り込んでいた場合は、そのつなぎ込みも作り直しになります。最初の選定で取扱商品数・得意先数・基幹連携・小売向けEC併設の4項目を数年先まで確かめれば、乗り換えの手間を減らせます。
Q. 器を導入しても、移行しない得意先のFAX・電話注文が残る場合はどうすればいいですか?
A. 残ることを見込んで設計します。Web発注に移れる先はECへ、残るFAX・電話は読み取りでデータ化し、最終的に基幹側で1本にまとめる形です。この全体像がないまま器だけを入れると、ECの注文は自動なのにFAXの注文は手入力という二重体制になり、事務の総量はほとんど減りません。移行率をKPIにして得意先へ圧力をかけると関係を損ねやすいため、受注1件あたりの処理時間と入力ミスの件数を指標にします。
Q. 導入までにどのくらいの期間がかかりますか?
A. 自社側の準備が整っていれば、どの器でも1〜2か月が目安です。期間を左右するのは、商品マスタの整備、得意先ごとの掛率・価格表の棚卸し、アカウント発行のルール決め、帳票をECと基幹のどちらから出すかの決定、の4点です。この準備がないまま契約すると、半年たっても公開できない状態になることがあります。

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