公開日: 2026.10.21 / 最終更新日: 2026.10.21

Shopify運用の内製化|自社の作業と外注に残す作業の分け方

Shopify運用の内製化を進めたい方向けに、作業を「頻度×専門性」の2軸で4つに分け、商品登録やバナー差し替えなど自社でやる作業と、テーマのコード改修や障害対応など外注に残す作業の分け方、マニュアル・権限・テスト環境の整え方を解説します。

机の上に手前と奥の2つの書類トレイが置かれ、担当者が作業カードを1枚ずつ手前のトレイと奥のトレイに仕分けており、手元のカードの横で小さな光が輝いている情景イラスト

Shopify運用の内製化は、作業を「どのくらいの頻度で発生するか」と「どのくらいの専門性が要るか」の2軸で4つに分けて進めます。管理画面とテーマエディタで完結する商品登録・バナー差し替え・ブログ・クーポン・メール配信は自社に移し、テーマのコード改修・アプリ連携・決済や税の設定変更・障害対応は外注に残します。移す前に、判断の基準を書いたマニュアル、担当者ごとのスタッフ権限、テーマの複製によるテスト環境の3つを用意します。

商品登録やバナーの差し替えのたびに制作会社へ依頼し、返事を待ち、見積もりを確認しています。この往復が月に何度もあると、このくらいは自社でできないかと考えるのは自然です。一方で、何をどこまで自社に移してよいのか、テーマを触って表示が崩れたらどうするのか、という不安も残ります。内製化は「全部自社でやる」か「全部外注する」かの二択ではありません。作業ごとに担当を決め直せば、反映までの待ち時間を減らしつつ、表示崩れのような事故につながる作業は制作会社に任せたままにできます。

内製化で最初に確かめたいこと|今の月額に何が含まれているか

実際に困るのは、作業そのものの難しさより、依頼から反映までの往復に時間がかかることです。バナー1枚の差し替えに依頼文を書き、見積もりを受け取り、承認し、反映を確認します。この手順が繰り返されると、キャンペーンの開始日に間に合わない、小さな修正を先送りする、といった形で売上に影響します。最初に確かめるのは、今の保守契約でどの作業が月額に含まれ、どの作業が都度見積もりになっているかです。内製化の効果が最も大きいのは、「都度見積もりになっている軽微な作業」を自社に移したときで、ここを放置したまま内製化を進めても、費用も待ち時間もあまり変わりません。都度見積もりが続く理由と防ぎ方はShopify修正依頼の追加費用|都度見積もりが続く理由と防ぎ方に詳しいため、本記事は「どの作業を誰がやるか」の分け方に絞ります。

内製化の目的を決めてから分けると、判断がぶれません。目的は大きく3つに分かれます。

  • 反映までの時間を短くしたい:商品やキャンペーンの変更を、思い立った日に自社で反映する
  • 小さな作業の費用を抑えたい:都度見積もりになっている軽微な修正を、自社の作業に置き換える
  • 運用の知見を自社に残したい:どこを触れば何が変わるかを担当者が理解し、制作会社を変えても運用が止まらないようにする

どの目的でも、内製化は制作会社を減らす取り組みというより、自社と制作会社の役割を分け直す取り組みです。外注に残す作業を明確にするほど、制作会社側も見積もりや対応の優先順位を付けやすくなります。

作業を「頻度×専門性」の2軸で4つに分ける

自社でやるか外注に残すかは、作業の名前ではなく、「どのくらいの頻度で発生するか」と「どのくらいの専門性が要るか」の2軸で決めると判断しやすくなります。頻度が高い作業ほど往復のコストが積み上がるので内製化の効果が大きく、専門性が高い作業ほど間違えたときの影響(表示崩れ・購入できない・決済や税の誤り)が大きいので外注に残す価値があります。

Shopify運用の作業を頻度と専門性の2軸で4象限に分類した図。高頻度×低専門性(商品登録・バナー差し替え・ブログ・クーポン・メール配信)は自社でやる、低頻度×低専門性(固定ページの文言修正・送料設定の確認)はマニュアル化して自社でやる、高頻度×高専門性(セール前のテーマ調整・アプリ設定の変更)は外注の作業枠に入れる、低頻度×高専門性(テーマのコード改修・アプリ連携・決済や税の設定変更・障害対応)は外注に残す、の4区分を示し、内製化は失敗しても戻せる作業から進める注意点を脚注に添えている

4つの象限は次のように扱います。①高頻度×低専門性は、管理画面の操作で完結する作業で、内製化の中心です。②低頻度×低専門性は、発生のたびに手順を忘れがちなので、マニュアル化して自社でやります。③高頻度×高専門性は、セール前のテーマ調整やアプリ設定の変更のように、頻繁に発生するが知識が要る作業で、都度見積もりにせず保守契約の作業枠に入れるか、制作会社と並走しながら少しずつ自社に移します。④低頻度×高専門性は、テーマのコード改修・アプリ連携・決済や税の設定変更・障害対応のように、発生は少ないが間違えると売上や決済に直結する作業で、外注に残します。

自社でやる作業|Shopifyの管理画面で完結するもの

①と②に当たる作業は、Shopifyの管理画面とテーマエディタ(「カスタマイズ」から開く画面)で完結し、コードを編集しません。代表的な作業と、自社でやる際に決める点を表にまとめます。頻度は目安で、商品数やキャンペーンの頻度によって変わります。

作業頻度の目安使う画面始める前に決めること
商品登録・在庫数の更新週〜日商品商品名・説明文・画像サイズの型を1つ決め、担当者が同じ型で登録する
バナー・トップページの差し替え月〜週テーマエディタ(カスタマイズ)セクションの画像・文言の差し替えまでに限り、コードエディタは開かない
ブログ記事の公開週〜月コンテンツ>ブログ記事見出しの付け方と内部リンクの入れ方をマニュアルに書く
クーポン・自動割引の設定月ディスカウント併用の可否・期限・対象商品を毎回設定し、終了日に無効化を確認する
メール配信週〜月マーケティング(またはメール配信アプリ)配信先の条件と配信日時を記録し、誰が送ったか分かるようにする
送料・配送設定の確認四半期設定>配送と配達変更したときは制作会社に一言共有し、購入テストで送料表示を確認する
自社でやる作業の例と、始める前に決めること

テーマエディタで変えられるのは、セクションの追加・並び替え・画像や文言の差し替え・色やフォントなどのテーマ設定です。ここで行った変更はテーマ側に保存され、テーマを更新しても引き継がれる対象になります(本記事執筆時点の公式ヘルプでは、テーマエディタでのカスタマイズは更新版にコピーされると案内されています)。一方、コードエディタでLiquidやCSSを直接編集した箇所は、更新と競合すると引き継がれないことがあるため、自社で触る範囲はテーマエディタまでに線を引くのが安全です。更新の仕組みはShopifyテーマ更新の保守|アプリ更新の担当と時期の決め方で詳しく扱っています。

外注に残す作業|間違えると売上や決済に直結するもの

④に当たる作業は、頻度が低いからといって自社でやると、戻し方が分からないまま表示や購入に影響が出ることがあります。次の作業は、内製化を進めた後も外注に残します。

  • テーマのコード改修:Liquid・CSS・JavaScriptの編集。レイアウトの変更や独自機能の追加は、どこを編集したかの記録とセットで制作会社に任せる
  • アプリ連携・外部システムとの接続:在庫・受注・会計などとのデータ連携。設定の誤りがデータの不整合として後から見つかるため、変更は制作会社が行い、自社は結果を確認する
  • 決済・税の設定変更:決済手段の追加や税率の設定は、誤ると売上や請求に直結する。変更の必要が出たら制作会社に依頼し、変更後に購入テストを自社で行う
  • 障害対応:表示が崩れた・購入できない・注文メールが届かないといった状態の切り分けと復旧。自社は発生時刻・画面・再現手順を伝える役割に徹する
  • テーマ更新時のコード引き継ぎ確認:更新版にコード編集が含まれなかった場合の移植
  • 計測の初期設定:GA4のeコマース計測など、タグやイベントの実装。設定後に数字を読むのは自社の仕事なので、確認方法はGA4のECサイト設定(eコマース計測の入れ方と確認方法)に手順がある

③の高頻度×高専門性の作業は、扱いを決めないままだと都度見積もりが積み重なりやすい領域です。セール前のテーマ調整やアプリ設定の変更が毎月発生するなら、保守契約の作業枠に入れて月額の中で対応してもらうか、制作会社に手順を見せてもらいながら自社に移していくか、どちらかを選びます。「毎回頼んでいるのに毎回見積もり」という状態は、この象限の作業の扱いが決まっていないことから生まれます。

内製化の進め方|マニュアル・権限・テスト環境

マニュアルには操作手順より「判断の基準」を書く

管理画面の操作手順は画面の変更で古くなるため、マニュアルの中心は「何をどの型で登録するか」「どこまで触ってよいか」「困ったら誰に連絡するか」という判断の基準にします。商品登録なら商品名の付け方・画像の枚数とサイズ・説明文の構成、バナーなら差し替えてよいセクションと触らないセクション、クーポンなら設定を省けない条件、といった具合です。制作会社に作業を依頼していた時期のやり取りを見返すと、繰り返し出てくる作業が自社に移す候補になり、その依頼文がそのままマニュアルの下書きになります。

スタッフ権限は作業に必要な範囲に絞って付与する

内製化で社内の担当者を増やすときは、ストアオーナーのアカウントを共有せず、担当者ごとにスタッフアカウントを作り、作業に必要な権限だけを付与します。スタッフアカウントはBasicプランでは追加できず、Growで5人、Advancedで15人までです(2026年10月時点の公式料金ページ)。Basicのまま担当者を増やすとオーナーのアカウントを共有することになるため、内製化の前にプランも見直します。本記事執筆時点の公式ヘルプでは、スタッフの権限は商品・ディスカウント・マーケティング・コンテンツ・オンラインストア・ストア設定・ファイナンスなどの項目ごとに付与でき、商品については表示・作成と編集・価格の編集といった段階に分かれています。商品登録とブログを担当する人にテーマやストア設定の権限は不要で、権限を絞るほど「触ってはいけないところを触ってしまった」事故を防げます。制作会社に渡す権限は、スタッフとは別のコラボレーターアカウントで管理し、こちらも必要な範囲に限ります。

テスト環境はテーマの複製で用意する

テーマエディタで変更を試すときに公開中のテーマを直接触ると、途中の状態が購入者に見えてしまいます。Shopifyでは、公開中のテーマを複製して下書きテーマとして保存し、複製側で変更を試してプレビューで確認し、問題がなければ公開する、という流れが取れます。本記事執筆時点の公式ヘルプでは、テーマの横のメニューから「複製」を選ぶと「Copy of」が付いた名前で下書きに追加され、管理画面に追加できるテーマ数には上限(20個)があるため、古い複製は定期的に削除する必要があると案内されています。複製は変更前のバックアップにもなるので、「変更前に複製する」を内製化の最初のルールにすれば、戻せない失敗はほぼなくなります。

自社に移すのは「失敗しても戻せる作業」から

内製化を一度に進めると、担当者の負担と事故の確率が同時に上がります。最初に移すのは、間違えてもすぐ戻せる作業(商品登録・ブログ・クーポン)で、次にテーマエディタでのバナー差し替え、最後に③の作業の一部、という流れで進めます。移すたびに1〜2か月は制作会社に結果を見てもらい、問題がなければ次に進みます。この期間に制作会社から受ける指摘は、マニュアルに追記する材料になります。

内製化のあとに契約を見直す|作業枠と役割分担表

自社に作業を移したら、保守契約の中身もそれに合わせて見直します。都度見積もりだった軽微作業が減る代わりに、外注に残した作業(コード改修・アプリ連携・障害対応・テーマ更新の対応)が契約の作業範囲に明記されているか、作業枠の時間や月額が今の役割分担に見合っているかを確認します。見直しの際は、作業ごとに「一次担当」「最終確認」「連絡先」を書いた役割分担表を制作会社と共有すれば、障害時に「どちらがやるのか」で止まることがなくなります。

一つ注意したいのは、内製化は「売上を伸ばす仕事」を自社に移すことではない点です。商品登録やバナー差し替えを自社でできるようになっても、計測・商品ページの改善・集客の設計が誰の仕事でもないままだと、売上は変わりません。任せきりで売上が伸びない理由と見直す手順は、Shopify制作会社に任せきりで売上が伸びない理由と見直す順番にあります。

まとめ|内製化は「分け方」を決めることから

Shopify運用の内製化は、作業を「頻度×専門性」の2軸で4つに分け、管理画面とテーマエディタで完結する高頻度の作業を自社に、コード改修・アプリ連携・決済や税の設定変更・障害対応を外注に残すところから始まります。進め方は、判断の基準を書いたマニュアル、作業に必要な範囲に限ったスタッフ権限、テーマの複製によるテスト環境の3点を整え、失敗しても戻せる作業から順に移します。移したあとは、保守契約の作業範囲と役割分担表を今の分け方に合わせて更新します。

4つの象限に分けた役割分担表は、今の保守契約で都度見積もりになっている作業の洗い出しから作ります。awai Buildはこの洗い出しと表づくりを担い、自社に移した後も、外注に残す作業と、計測・商品ページの改善・集客といった売上を伸ばす仕事を同じ窓口で引き受けます。対応範囲はawai Buildのサービス詳細にあります。

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よくある質問

Q. Shopify運用の内製化は、どの作業から始めるのがよいですか?
A. 間違えてもすぐ戻せる作業から始めます。具体的には商品登録・ブログ記事の公開・クーポンの設定で、次にテーマエディタでのバナー差し替えに進みます。コードの編集やアプリ連携は最後まで外注に残すのが一般的です。
Q. テーマエディタとコードエディタの違いは何ですか?
A. テーマエディタ(カスタマイズ)は、セクションの追加・並び替え・画像や文言の差し替え・色やフォントの設定を画面操作で行う機能です。コードエディタはLiquidやCSSなどのコードを直接編集する機能で、更新と競合すると変更が引き継がれないことがあります。自社で触る範囲はテーマエディタまでに線を引くと安全です。
Q. 内製化を進めると、制作会社との保守契約は不要になりますか?
A. 多くの場合、不要にはなりません。テーマのコード改修・アプリ連携・決済や税の設定変更・障害対応は外注に残す価値が高い作業です。自社に移した作業の分だけ、契約の作業範囲と作業枠を今の役割分担に合わせて見直します。
Q. 社内の担当者にはどの権限を渡せばよいですか?
A. 担当する作業に必要な項目だけを付与します。商品登録とブログを担当する人には商品とコンテンツの権限、クーポン担当にはディスカウントの権限、といった具合で、テーマやストア設定の権限は担当者を絞ります。ストアオーナーのアカウントは共有せず、担当者ごとにスタッフアカウントを作ります(Basicプランでは追加できないため、Grow以上のプランが必要です)。
Q. 変更を試すテスト環境はどう用意しますか?
A. 公開中のテーマを複製し、下書きテーマとして保存した側で変更を試します。プレビューで確認して問題がなければ公開し、問題があれば複製を削除するだけで元に戻せます。変更前に複製を取ることを最初のルールにすると、戻せない失敗を防げます。

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