公開日: 2026.09.24 / 最終更新日: 2026.10.21

EC同梱物の設計|リピートにつながる入れ方と効果の測り方

EC同梱物は、1つの荷物で伝える目的を1つに絞り、初回は使い方と連絡先、2回目以降は使い切りの目安と専用コードに入れ替えます。紙は3点まで、効果は同梱物ごとのコードとQRの件数で測ります。

作業台の上で開いた配送箱に、重ねた紙片と小さな袋を手が入れようとしており、手前には封入待ちの紙の束と粘着テープ、奥には出荷前の箱が2つ並び、箱の口元に小さな光のしるしが浮かんでいる情景イラスト

自社ECの出荷作業で、納品書のほかに何を入れるかを決めきれず、チラシとショップカードを毎回とりあえず入れています。少人数で運営しているECでは、よく見かける状態です。同梱物(商品とともに箱へ入れる紙やサンプルなど)で迷うのは種類の多さより、どれを残してどれをやめるか、入れたものに効果があるかをどう確かめるか、の2点です。

リピートにつなげる同梱物は、次の4つを決めれば形になります。1つの荷物で伝える目的を1つに絞ります。初回は使い方と連絡先、2回目以降は使い切りの目安と次回用のコード、と購入回数で中身を入れ替えます。紙は3点までにし、手間が大きく効果を測れないものから外します。残したものには同梱物ごとの専用コードとQRを付け、利用件数を封入件数と並べて見ます。クーポンやおまけを同梱する場合は、これに加えて景品表示法の限度額と適用除外の確認が要ります。

同梱物の設計は「何を入れるか」より「1つの荷物で何を伝えるか」から決める

荷物を開ける瞬間は、購入者が商品とショップに目を向けているタイミングです。メールやSNSと違い、開封されるかどうかを心配する必要がなく、届いた人の手に必ず触れます。そのため、あれもこれもと入れたくなりますが、1枚ずつ目を通してもらえる枚数には限りがあります。4枚も5枚も入っていると、中身を見ないまままとめて取り出され、箱ごと捨てられることもあります。点数を増やすほど、1枚あたりが読まれる確率は下がります。

そこで、同梱物の種類を選ぶ前に「この荷物で何を伝えるか」という目的を決めます。目的の候補は、たとえば次の5つです。

  • 次の購入のきっかけを作る:次回使えるクーポン券、使い切りの目安、関連する商品の案内
  • 最初の不安をなくす:使い方、お手入れの方法、サイズや容量の目安、困ったときの連絡先
  • 購入者の声をもらう:レビュー投稿やアンケートの依頼、SNS投稿の呼びかけ
  • つながり続ける接点を作る:LINE公式アカウントの友だち追加、メール登録、会員登録の案内
  • 送り手を思い出してもらう:ショップカード、作り手や産地の背景を伝える紙

このうち、1つの荷物で確実に伝えられるのは1つと考えてください。5つ全部を詰めた荷物では、どれも読み飛ばされます。目的を1つに絞ると「その目的なら、この紙に何を書くか」が決まり、文面の良し悪しも判断できます。少人数の体制では、この絞り込みが封入の作業量に上限をかける役割も果たします。

初回と2回目以降で入れ替える|同梱物は購入回数で設計する

では、その1つの目的をどう選ぶか。分かりやすいのは、商品の種類で分けるより「その人にとって何回目の購入か」で分ける方法です。初めて買った人と、3回目の人と、しばらく買っていない人とでは、同じ紙を読んでも受け取り方が違います。初回の人にいきなり次回クーポンを渡しても、商品をまだ使っていないため、買い直すかどうかを判断できません。一方で、何度も買っている人に毎回同じ使い方の説明を渡しても、読む理由がありません。

同梱物を購入回数の3つの場面で分けた分類図。初回の購入は最初の不安をなくすことを目的に使い方と連絡先の1枚を入れ問い合わせ件数を見る、2回目以降は次に買う時期を伝えることを目的に使い切りの目安と専用コードを入れ利用件数を見る、しばらく購入がない人は荷物が発生しないためメールやLINEの役割になり再び購入した件数を見る、という3列で並べている

図の3つの場面を、同時に全部用意する必要はありません。初回向けの1種類を作り、毎回同じように入るようになってから2回目以降向けを足せば十分です。分け方を増やすほど、出荷のたびに「この人は何回目か」を判断する手間が発生します。少人数の出荷体制なら、判断が必要な分岐は2〜3通りを上限にしてください。出荷担当者が迷わないよう、納品書やピッキングリストに初回の注文かどうかを表示できるかも、利用中のカートや受注管理の設定で確かめます。

  • 初回の購入:使い方・お手入れ・困ったときの連絡先を1枚にまとめる。返品や交換の条件も同じ紙に載せ、あとの問い合わせを減らす
  • 2回目以降の購入:使い切りの目安と、次回使える専用コードを1枚にまとめる。「いつ買い直すか」が分からないまま離れる人もいるため、使い切るまでの日数の目安を書いて買い直しの時期を伝える
  • しばらく購入がない人:再開のきっかけになる案内。ただし荷物が発生しないため同梱物では届けられず、メールやLINE公式アカウントで送る

3つ目の但し書きのとおり、同梱物が届くのは今回買ってくれた人に限られ、離れてしまった人には届きません。同梱物の役割は、離脱した人を呼び戻すことより、今買ってくれた人を次の購入につなぐことにあります。自社のリピート率をどう数えるかを事前に決めると、同梱物を入れ替えたときの変化を数字で比べられます。リピート率の計算方法と、最初に手を付ける施策はECのリピート率の平均と計算方法を参照してください。

何を入れないかを決める|種類ごとの手間と測りやすさで見比べる

目的を1つに絞ったら、次は何を入れないかを決めます。判断の材料は、その同梱物が果たす役割に加えて、封入にかかる手間と、効果を後から確かめられるかの2つです。手間が大きいわりに効果を測れないものから外すと、迷わずに減らせます。

同梱物向く目的封入の手間効果の測りやすさ
納品書・明細取引の記録を残す小(出荷作業にもともと含まれる)測る対象ではない
使い方・お手入れの案内最初の不安をなくす小(商品ごとに1種類で足りる)低い(問い合わせ件数から間接的に見る)
次回使えるクーポン券次の購入のきっかけを作る小高い(専用コードの利用件数で分かる)
レビュー・アンケートの依頼カード購入者の声を集める小中(専用QRの読み取り数で分かる)
サンプル・試供品別の商品を試してもらう大(商品ごとの仕分けが増える)中(対象商品の購入件数で見る)
カタログ・冊子取扱商品の全体を伝える中(重量が増え送料にも響く)低い
手書きのメッセージ送り手を思い出してもらう大(出荷件数に比例して増える)低い
同梱物の種類と、向く目的・封入の手間・効果の測りやすさ(手間と測りやすさは一般的な目安)

表を見ると、手間が小さく効果も測れるのはクーポン券と依頼カード、手間が大きいのはサンプルと手書きのメッセージで、手書きは効果も測りにくい同梱物です。手書きをやめるべきという意味ではありません。出荷が1日に数件のうちは、手書きは送り手を覚えてもらう有力な手段です。ただし件数が増えたときに最初に手が足りなくなるのも手書きなので、始める時点で「初回の注文に限る」「一定額以上の注文に限る」といった絞り方か、印刷した定型文への切り替え条件を決めてください。

削っていくと、次の購入のきっかけを作る紙1枚が残ることもあります。1回の注文で買う点数を増やす施策と組み合わせる場合はEC客単価の上げ方(クロスセル・セット販売・送料無料ライン)が、レビュー依頼の文面と送るタイミングはECレビューの集め方が役立ちます。

封入作業が滞る分岐点|点数・分け方・出荷の波で決まる

同梱物の設計がうまくいかなくなるとき、原因は文面より封入作業の側にあることがよくあります。入れ忘れた荷物、違う紙が入った荷物、繁忙期に何も入っていない荷物が混ざり始めると、効果を測ろうとしても数字が読めません。どこで作業が滞るかを前もって知っていれば、その手前で手を打てます。

分岐点起きること対策として決めること
同梱物が4点以上になる入れ忘れ・入れ違いが増え、検品の手戻りが出る1つの荷物に入れる紙は3点までと決め、増やしたいときは1点減らす
商品ごとに入れるものを変える出荷のたびに仕分けの判断が入り、決めた担当者以外が作業できなくなる商品別をやめて購入回数で分ける。分け方は2〜3通りまでにする
繁忙期に出荷件数が数倍になる同梱物の封入が後回しになり、何も入っていない荷物が出る繁忙期に入る前に「同梱物は1点に固定する」と決める
印刷物を一度に大量に刷る文面を直したくなったときに在庫が足かせになる刷る量は3か月で使い切る量までにする
出荷を物流会社に委託している同梱物の差し替えに締め日と追加の作業が発生する差し替えの締め日と、何通りまで分けられるかを契約前に確認する
封入作業が滞りやすい分岐点と、その手前で決めること

見落とされやすいのは、最後の物流委託の行です。自社で出荷しているうちは紙の差し替えは数分で済みますが、物流会社に預けると、事前の連絡と締め日を伴う作業に変わります。将来的に出荷を委託する可能性があるなら、同梱物の種類を増やす前にその条件を調べてください。自社で出荷している間は、次の3つで封入の抜けを防げます。

  • 作業手順を1枚の紙にして梱包台に貼る:担当者が休んだ日も同じものが入る。紙が3点までなら手順も1枚に収まる
  • 同梱物の在庫を目に入る場所に置く:出荷当日に在庫切れに気づくと、その日に出す荷物の中身がほかの日と変わってしまう
  • 入れ替えは効果を判断してからにし、切り替えた日付を記録する:途中で変えると、どの期間にどれが入っていたかを追えず、効果を判断できない

クーポンや特典を入れるときに確認すること|景品表示法の考え方

次回使えるクーポンやおまけを同梱する場合は、景品表示法(景品類の提供と表示について定めた法律)の考え方を一度確かめると安心です。渡すものが「値引き」に当たるか「景品類」に当たるかで、扱いが変わります。

消費者庁の解説では、自社の商品・サービスの代金を取引通念上妥当と認められる基準に従って割り戻すもの(値引き)は、景品類に当たらないとされています。一方、商品とは別の物品やサービスを付ける場合は、景品類に当たり得ます。ただし、同じ企画の中で景品類と組み合わせて行う場合は値引きとして扱われないとされているなど、線引きは組み合わせ方によっても変わります。

抽選などによらず購入者全員に付ける景品類(総付景品)には、限度額の定めがあります。消費者庁の案内では、取引の価額が1,000円未満の場合は200円まで、1,000円以上の場合は取引の価額の10分の2までが上限です。また、商品の販売に必要な物品、見本・宣伝用の物品、自社の商品の取引で使える割引券など、正常な商慣習に照らして適当と認められるものは、この制限が適用されないものとして挙げられています(消費者庁「景品に関するQ&A」)。同梱物の多くはこちらに近い性質を持ちますが、個々の扱いは内容によって変わります。

自社ECで検討するときは、①渡すものが値引きか別の物品か、②購入者全員に渡すか抽選か、の2点を書き出したうえで、消費者庁の景品規制の案内と、出店しているモールや利用中のカートサービスの規約をあわせて確認してください。個別の企画がどちらに当たるかは一概に言えないため、判断に迷う内容は実施前に専門家へ相談してください。

効果をどう測るか|同梱物ごとに別のコードとQRを用意する

同梱物が続かなくなるもう一つの理由は、効果があるのか分からないまま入れ続けることです。紙は配ったあとに反応を返してこないため、測る仕掛けを紙の側に組み込みます。用意するのは次の4つで足ります。

  • 同梱物ごとに別のクーポンコードを発行する:種類の違う紙で同じコードを共用しない。利用件数が、その紙を読んで購入に至った件数の下限になる
  • QRコードのURLに入口の印を付ける:UTMパラメータ(URLの末尾に付ける識別用の文字列)を同梱物ごとに変え、GA4などのアクセス解析で読み取り数を分けて見る
  • 封入した件数を分母として記録する:利用件数のみでは判断できない。期間中の出荷件数を分母に置く方法が手軽
  • 週に1回、同じ曜日に件数で見る:件数が少ないうちは率が週ごとに上下しやすいため、件数のまま見る

たとえば1か月で2回目以降向けの紙を200件の荷物に入れ、専用コードの利用が12件だった場合、その紙から生まれた購入は少なくとも12件で、封入件数に対して6%と読みます。文面を変えて比べるときは、次に書く判断の期間を置いてから切り替え、同じ長さの期間で同じ計算をします。

判断までの期間は、始める前に決めます。同梱物の効果は渡したその日には出ません。次に買うまでの周期が1〜2か月の商材なら、少なくとも2周期分(おおむね2〜4か月)は同じ内容のまま続けてから判断します(周期は商材ごとに違うため、自社の購入間隔に置き換えてください)。その期間内に文面や点数を変えると、どの変更が数字を動かしたのかを切り分けられません。反対に、期間を決めずに続けると、成果の出ていない紙を何年も入れ続けることになります。

LINE公式アカウントの友だち追加やメール登録を同梱物の目的にする場合は、登録後に何を配信するかまで決めてから入れてください。登録直後に何も届かないと、そのままブロックや配信停止につながります。友だち集めと配信の組み立てはLINE公式アカウントのEC活用に手順があります。

まとめ:1荷物1目的・入れないもの・測るコードを決める

同梱物は、点数を増やしても成果は伸びません。1つの荷物で伝えることを1つに絞り、購入回数で入れ替え、手間が大きく効果を測れないものから削り、残したものには専用のコードとQRを付けて件数で見ます。この4つを決めれば、少人数の体制でも無理なく続きます。手を付けるのは初回向けの1種類からで足ります。購入の周期を定期購買として仕組みに組み込みたい場合は、EC定期購買の仕組みと設計も参考になります。

受注データから初回の注文を見分けて納品書に表示する設定や、同梱物ごとの専用コードとQRの発行、利用件数の月次集計は、awai Buildの自社EC伴走支援で受け持つ作業です。メールやLINE公式アカウントの配信まで含めた支援の内容はawai Buildのサービス詳細をご覧ください。

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よくある質問

Q. 同梱物は何点くらい入れるのが適切ですか?
A. 商材や体制によりますが、1つの荷物に入れる紙は3点までを上限にすると、封入の手順が1枚の紙に収まります。点数を増やすほど1枚あたりが読まれる確率は下がり、4点以上になると入れ忘れや入れ違いによる検品の手戻りも増えます。増やしたくなったときは、代わりに1点減らしてください。
Q. 初回の購入と2回目以降で、入れるものを変えるべきですか?
A. 変えることを勧めます。初回の人は商品をまだ使っていないため、次回クーポンを渡しても判断ができません。最初の不安をなくす内容(使い方・お手入れ・連絡先・返品の条件)のほうが役に立ちます。2回目以降は、使い切りの目安と次回使える専用コードに切り替えます。ただし分け方を増やすと出荷時の判断が増えるため、2〜3通りまでに留めてください。
Q. 手書きのメッセージは入れたほうがよいですか?
A. 出荷件数が1日に数件のうちは、送り手を思い出してもらう手段として役に立ちます。一方で、件数に比例して作業時間が増えるため、出荷が伸びたときにいち早く作業が追いつかなくなるのも手書きです。始める段階で「件数が増えたら初回の注文に絞る」「印刷した定型文に切り替える」といった移行の条件を決めると、途中で急に止まる事態を避けられます。
Q. 同梱物の効果は、どうやって測ればよいですか?
A. 同梱物ごとに別のクーポンコードを発行し、QRコードのURLにも同梱物ごとに違う印(UTMパラメータ)を付けてください。そのうえで、期間中に封入した件数を分母として記録します。件数が少ない段階では、週に1回、同じ曜日に、コードの利用件数とQRの読み取り数を率に直さず件数のまま見ると、週ごとの振れに惑わされずに済みます。
Q. 効果があるかどうかは、どのくらいの期間で判断すればよいですか?
A. 次に買うまでの周期の2倍程度は、同じ内容のまま続けてから判断します。周期が1〜2か月の商材なら、おおむね2〜4か月が一つの目安です(周期は商材によって違うため、自社の購入間隔に置き換えてください)。その間に文面や点数を変えると、どの変更が成果を生んだのか分からなくなります。
Q. 同梱するクーポンやおまけに、法律上の注意点はありますか?
A. 景品表示法の考え方に照らして確認します。消費者庁の解説では、自社の代金を妥当な基準で割り戻す値引きは景品類に当たらないものとされる一方、別の物品を付ける場合は景品類に当たり得るとされています。抽選によらず全員に渡す景品類(総付景品)には限度額の定めがあり、自社の取引で使える割引券などは、正常な商慣習の範囲であればその制限の対象外とされています。個別の企画がどちらに当たるかは組み合わせ方によっても変わるため、消費者庁の案内と、利用中のモール・カートサービスの規約をあわせて確認し、迷う場合は実施前に専門家へご相談ください。

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